第一コリント 7 : 27

 

あなたが妻に結ばれているなら、解かれたいと考えていはいけません。
妻に結ばれていないのなら、妻を得たいと思ってはいけません。

(第一コリント7:27)

 

パウロは処女である娘の結婚について話しています。
事前にコリント教会から質問があったからです。
しかし、パウロはその質問に答える前に、問題を整理します。
7章前半での結婚に関する一般原則を踏まえつつ、
現在が危急のときであるということを確認し(26)、
男はどうすべきかということをおさえます。
その上で、次節より、本題に入っていきます。

今節に記されているのは、
「独身に召された人を除いては、男は結婚するのがみこころだが、
今コリント教会が直面している緊急事態においては、あえて結婚を望むことはない」
というパウロのひとまずの答えです。
ここからさらに論理を進め、処女の結婚に関する答えを導いていきます。

これがパウロのいつものやり方であり、聖書的なアプローチです。
すなわち、問題そのものを直接扱う前に、
それに関する聖書全体の基本的な教えを確認し、
関連する項目や、置かれた状況を踏まえて答えを導きだすことです。
全体から部分を扱う。すると、物事がよく見えてきます。

例えば、具体的な問題で悩んだり落ち込んだりしたとき、
その問題そのものはいったん置いて
関連する事柄、
例えば、聖書の死生観、人間観、家族観、国家観、教会観、歴史観などに
目を向けてみるとよいでしょう。
とはいっても、何も難しい書物を読むことが必ずしも必要ではなく、
聖書を読みながら、祈りつつ、心を整理していくのです。
もちろん、あるテーマについて書かれたキリスト教書が大変役にたつこともあります。
いずれにせよ、全体を俯瞰し、そこから個別具体的な問題に向かうというのが、
問題のよい解決につながります。
急がば回れ、ですね。