現在の危急のときには、男はそのままの状態とどまるのがよいと思います。
(第一コリント7:26)
「処女のことについて」(25)意見を述べ始めたパウロは、すぐにその問題を扱わず、
今が「危急のとき」であるという現状認識から入ります。
「処女のことについて話すにあたり、踏まえておかなければならないことがある。
それは、今が危急のときである、ということだ」と言うのです。
「危急のとき」とは「苦難」(28)の時代であり、「時は縮まっている」(29)現実です。
「この世の有様は過ぎ去る」(31)と実感させられる状況が、コリント教会にありました。
それが何かは、はっきりしていません。
クラウデオ帝時代の飢饉だと言う人や、激しい迫害だと言う人もいます。
何であれ、終末を意識させられるような緊迫した状況下に教会は置かれていました。
その非常事態を見て、パウロは、彼らが現状に留まるのが一番良いと考えています。
ずなわち、結婚しているならそのまま、独身ならそのままがよい、とのことでした。
ここには物事を決断する時の原則があります。
第一に、聖書の教理をベースにすること。パウロは、世の終わりが差し迫っていることを、判断の土台としています。
第二に、現実をよく理解すること。パウロは、教会が危急の時にあるとみています。
第三に、目的をはっきりさせること。後段で述べられていますが、パウロの指示の目的は、私たちがよりよく主に仕えることです。
結婚、就職、進路、引っ越しなど、大きな出来事を決断する時、
まずは聖書の基本的な世界観を土台とし、
次に様々な現実を考慮し、
神さまの栄光をあらわすためには、どの選択が最善かを考えていきましょう。